遥か大昔、私たちの祖先の思考傾向、行動傾向も相貌(顔立ち)に出ていたのではないでしょうか。
「思考・行動と環境・文化は関係性がある」という仮説を立て、相貌心理学を用いて考察してみました。
縄文人の顔立ちは弥生人に比べると(渡来人)頭の回転が速く論理的思考が得意であることが分かります。
狩猟民族ゆえに瞬時の判断と素早い行動力が求められていたからでしょう。
そして危険を常に回避するため、安易な判断を避ける。または物事に対する疑い深さが見て取れます。
ここで縄文人と弥生人の違いを確認します。
まずは縄文人の特徴です。下の写真は茨城県の若海貝塚から出土した頭蓋骨のレプリカです。
次に弥生人です。
下の写真は山口県土井ヶ浜遺跡から発掘され頭蓋骨のレプリカになります。
両者のイメージが付いたところで、頭蓋骨と再現された肉付きを見比べてみましょう。
最大の特徴は顎です。
縄文人は顎がしっかりとしています。一方弥生人は細めです。
この特徴から読み取れることは、「縄文人は体力があり、弥生人が縄文人ほど体力がない」と言うことです。
狩猟民族である縄文人は農耕民族である弥生人よりも、アクティブで体力を使う生活をしていた事が想像できます。
そのほか弥生人は縄文人と比べて、顔がのっぺりとしています。
また縄文人は弥生人と比べると目鼻立ちがはっきりとしているのが良く分かります。
旧石器時代の沖縄県港川遺跡
ここで旧石器時代の港川人の顔立ちを見てみましょう。
顎は縄文人よりも大きく、顔の凹凸も大きい相貌が特徴です。
港川人は縄文人・弥生人の顔よりも額が傾斜し、鼻の付け根の凹んでいます。加えて顎先の突出、下顎が前面に出ていることが分かります。
これらの特徴は頭の回転が早く、物事を瞬時に判断していたことが分かります。反面、結論が出る前に衝動的に行動していた可能性が高いです。仲間と相談する時間が無い場合、自分の経験と緻密な分析力を使い、一瞬で判断し、即行動しなければ獲物を獲ることが出来なかったからでしょう。また即決即断できなければ、大型動物などから身を守る事が出来なかった環境が影響していたかもしれません。
港川人に比べ、一番奥に見える弥生人の額はほぼ真っ直ぐです。物事をじっくりと考えてから行動していた事を示す特徴です。稲作を辛抱強く育てるには、物事を腰を据えて行う事が必要だと言う事がわかってきたのでしょうか。
弥生人は縄文人より冷静で感情の起伏が少なく、我慢強い性格だったのかもしれません。
港川人について興味深い実験があります。
国立科学博物館が「3 万年以上前に大陸から渡ってきた最初の日本列島人 は、丸木舟を漕いでやってきた」という仮説を掲げました。
そして台湾→与那国の実験航海に成功しています。
実験から推測できる事は、港川人は高度な科学的知識や持久力があったということです。
コンパスも無いわけですから、進路は星の動きを頼りに定めていたのでしょう。さらに丸木舟を作成する技術力と長い航海を乗り切るテクニックと忍耐力を持っていたことになります。
これは現代人でも簡単に出来ることではありません。私たちが旧石器人に抱きがちな原始的なイメージとは違い、
実際には素晴らしい想像性と社会性と技術を持っていたことがうかがえます。
港川人と弥生人の額を見ると高さは同じぐらいです。つまり両者とも変わらない想像力があり、
さまざまな事を考え、実現をしてきたのではないでしょうか。
ただし港川人の方が行動力があるので、未知の世界に飛び出すエネルギーと勇気が強かった事がポイントになりそうです。
このように、私は思考・行動と環境・文化は関係性が頭蓋骨、肉付きに現れていると思います。
私達の祖先たちはどのような事を考え、行動していたのでしょう。
そんな素朴な疑問は、彼らの頭蓋骨などを通じて見えてきます。
人の言動はいつの時代も環境・文化に影響されるものだと分かると、
何だか親近感を覚え感慨深い物を感じました。
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